僕たちはまだ福島の湯を知らない。

お疲れ様です。こだわりメガネです。

 

東日本大震災から11年が経ちました。

 

僕はその頃埼玉に住んでいたので比較的被害は軽微だったのですが、福島に住んでいた祖父母家の二階が崩壊したり、岩手に住んでいた親戚は屋上の作業中落ちて大怪我をしたり、安否を確認したくても電話が繋がらず、テレビで報道され続ける変わり果てた故郷の姿に、ただ呆然と立ち尽くす事しか出来ませんでした。

 

未だ避難生活を強いられ、帰りたくても帰れない方々、言われのない差別、偏見に苛まされている方々が大勢いらっしゃることを思うと胸が痛み、大変苦しい思いでいっぱいになります。

 

犠牲になった彼らの苦痛を忘れないことも勿論重要ではあります。

 

でも我々生き残った者たちの責務として、東北はこんなにも魅力的な場所なんだよと伝え広める事もまた重要だと思うのです。

 

そこでたまには故郷の福島の話をしてもいいのでは無いかと言う事で、こんな話を書き上げてきました。

まぁちょっとは若者の温泉と地元あるあるトークにでも付き合って下さいよ。

 

飯坂温泉

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愛すべき僕の生まれ故郷。

福島駅から新幹線を降りて若干、いやかなり値の張る飯坂線に乗り換え25分で辿り着く。

容赦ない温度で旅人を苦しめる地獄の公衆浴場、あの懸賞のなすびが住んでいる等福島の温泉地の中ではわりかし有名だが、僕が何より知って頂きたいのがこの町の夜の姿。川面に反射する町並みはあの千と千尋を彷彿とさせる。(これは写真を貼りたくない。是非君の目で確かめてくれ。)

 

先述の通り町の至る所に公衆浴場が設置されているので立ち寄っても良いが、湯の温度は最低45~65度まで達するので到底常人が入れる代物ではない。どうしてもと言うなら少し浸かってはヘリに座るムーブを繰り返そう。

また地元住民が結構キツめの方言でフレンドリーに話しかけてくれるので、話に困ったらとりあえず巨人の話題を出そう。

大抵喜んでくれるから。

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(そのせいなのか、公衆浴場で鍛え抜かれたザカリアンの実家の風呂の温度は44度を超える。)

で、その火照った体を照井のビールで冷やせば君も立派なザカリアンだ。

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またお土産として知られるラジウム玉子はお店によって特徴が異なり(僕には違いが分からない)もっぱら公民館でどこそこの店が1番という議論が交わされている。

これはまぁ…好きなの買ったらいいんじゃないすかね。

因みにこだわり家は大作玉子屋派でした。

 

立ち寄ったらご家族にひとつ如何だろうか。

 


土湯 高湯温泉鄉

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山の峡わきいづる湯に人通ふ
山とことはにたぎち霊し湯

…と詠まれる程には歴史ある温泉地。

これまた山中の秘湯に属する温泉地だが福島駅からバスで繋がっているので比較的行きやすいっちゃ行きやすく、2017年じゃらん温泉地満足度ランキングで全国一位を獲得している程評価が高い。

ただ町中は閑静でこぢんまりとしていて、他の草津だったり熱海といった陽キャ温泉地と比べるとどうしても地味に思われてしまうかもしれない。

だがこの町の真の魅力は浴場全てを合わせると53件ほど存在し、その全てが源泉かけ流しというあまりにも贅沢な、全国的にも珍しい温泉地なのである。

なので旅行地で遊びたい若い子達向け、というより日長一日全てを忘れ湯に浸かり、のんびり余暇を過ごしたいというこだわりメガネみたいなじじくさい感性を備えたそこの貴方!

大変おすすめです。


余談だがここ土湯は鳴子、遠刈田に並ぶ三代こけしの地として知られている。その為大抵の旅館のガラスケースには色とりどりのこけしが陳列されており、子供の目には中々の恐怖。

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実際小学生時代の筆者は夜中暗い館内を歩いていたら巨大こけしに目が合い、チビりそうになった思い出がある。

 

 


鷲倉温泉

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「空を往く道」磐梯吾妻スカイライン大自然を抜ければ標高1230m、県内で1番標高が高い天空の秘湯に辿り着く。

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冬場はスカイラインがそもそも閉鎖されてしまっているので、避暑目的と割り切って夏場に行った方がいいかも。ここのお風呂も例によって暖かめなので露天に入ったら爽やかな風を浴びてみよう。

吾妻連峰から吹く初夏の風は筆舌に尽くし難い旅情を味わえる。

また弱硫黄泉と鉄鉱泉というまったく異なる二種類のお風呂が楽しめるので、温泉マニヤからは立地、泉質、道程の風光も含めてかなりの高い評価を得ている。

 


東山温泉

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会津若松駅からバスで15分、川のせせらぎが胸に沁み入る緑豊かな温泉地。

色々魅力的なお宿は沢山あるのだが、個人的には庄助の宿という旅館がお気に入りである。お湯の温度も比較すると大変入りやすく、朝ご飯のおもちがおかわり自由で、ついつい食べすぎてしまう。

ちなみに最上階には展望貸切露天風呂が設置されていて、静謐な会津の町並みをロマンチックに楽しめる、といったものなのだが…

 

本当に申し訳ない…冬場〜春先はあんまり気軽に勧められない…

 

いや、確かに景色は物凄いのだ。

水面に映し出された月華、澄み切った向こうの街明かり、煌々と輝く大三角の星芒を僕は一生忘れはしない。

…しないのだが、なにせ屋上&川辺というただでさえ寒い環境下の中、山間から吹いてくる強烈な風が身体にダイレクトにぶち当たり、脱衣場で身体を拭いている時は凍えてしまうかと思ったほどだったからだ。(なお、その寒空の中でもじいちゃんは何食わぬ顔で寒風摩擦をしていた。鍛え方が違うのか…)

 

前述の通りここは立地が観光客に大変優しい場所に位置する為、電車旅行の民にとってはありがたい存在。

一頻り城下街を探索し脚の疲れを感じたら、気軽に立ち寄ってみてはどうだろうか。


余談:福島県は健康的な県民が多数存在する事は広く知られているのだが、どうもここ会津の民は特に健脚の方が多い気がする。

なにせここの親戚一同はほぼ100%と言っていいほど万歩計を所持しており、日々歩いた歩数でマウントを取るという荒れてるのか平和なんだかよく分からない気風を持った方が非常に多い。

血潮に潜む会津侍の魂がそうさせるのか。

 

 

 

終わりに

僕は福島が好きだ。この地の海も山も人も風呂も飯も何もかも全てひっくるめて大好きだ。

町中に舞散った花びらをばーちゃんと二人で眺め歩き回った事も。

手が痛くなる程冷えた水で洗った桃に大きな口を開けてかぶりついた事も。

信夫山の落ち葉にまみれて転がった事も。

わざわざスコップを持ち出して自宅前にソリのコースを作ってくれた大叔父さんの優しさも。

清濁併せ呑んで大人になった自分の辛い時を支える糧となって今を活きている。

 

だからこそ稚拙ではあるがこの記事を読んで、少しでも福島の魅力が伝わって頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 


じーちゃん!ばーちゃん!親戚のみんな!

僕を旅好きに育て上げてくれてありがとうね!