お疲れ様です、メガネです。
いやー最近少しずつ暖かくなってきましたね。虫なので寒いの苦手だからありがたいんだけど、また春になって嬉しいかと聞かれたらちょっと頷くのを躊躇いますね。
もう花粉症が辛くて。
目ん玉取り出して流水でジャーーーッと勢い良く洗いたい欲求が溜まってしょうがありません。
目玉親父の入浴シーンが羨ましいよ…。
さて、突然ですが私ことメガネは毎年春になると必ず思い出す、高校時代のある出来事がございまして…
ちょっとこの場を借りて、自分語りをさせて頂きたく思います。
別に面白くないし長いから見なくていいよ。
(この先、軽いLGBT要素が含まれてます。
苦手な方はどうか御遠慮下さい。)
〜登場人物〜
ぼく(16)
在りし日の沼芸人。
勉強より部活する為に学校通ってたような熱血弓道マン。
団体Aチームを目指して日々猛練習中。
小池くん(16)
ネット文化に(というかニコニコ)詳しく、メガネはこいつから淫夢やケツピンの存在を知った。
進学クラスに所属している為あまり部活に参加出来ないが、元水泳部だったせいか無駄にガタイが良い。
親しみやすい性格…
なのだが…。
メンディーくん(16)
こちらも進学クラス。
190cmを優に越すデカすぎる身体から繰り出される蚊のようなウィスパーボイスが特徴。
なんで弓道部に入って来たのか分からないくらいのヤンキーで、特技はデスボとアームロック。
だが実際は薬剤師志望の真面目でノリのいい奴。
〜何があったか〜
事件は高校1年の3月、春休みの初めに起きた。
僕の高校は勉強に力を入れており、希望制ではあるが毎回長期休暇に入ると講習が実施されており、平日は朝8時から始まる0限から4限まで行われていて、弓道部員は顧問の命令により全員2コマ分の授業を取ってから四限終わりに始まる「立ち」と呼ばれる実戦形式の練習を2~3回行って終了、というルーティーンだった。
その日、僕は1.2限の国語と英語の2コマを取ってから靴箱が空になっているのを確認した後、部室に入った。
僕「れいしゃす!おざーす!」
やっぱりというか当然というか、帰って来る言葉は無かった。
2、3限取ってちょっと自主練しに来る部員はいるが、こんな早くに道場を訪れるアホなど僕を含めて片手で数えられる程しか存在しなかったのだ。
僕は誰にも邪魔されず好きな弓に没頭出来るこの時間が楽しみで仕方なく、毎日ツルツルに磨いているフローリングの床をスケートの様に滑りながら男子ロッカー室の扉を開き、いそいそと着付けの作業に取り掛かった。
↑(弓道着のイメージ。)
経験者の方ならわかると思うが袴の着付けはとてつもなく面倒臭く、慣れていても結構時間がかかるもので、よく
「ヘラクレスオオカブトVSコーカサスオオカブト、どっちが強いか選手権」
「女子、開脚する時女性器裂けちゃわないか大激論」
「あの子のブラ柄大妄想大会」
等のしょーもない会話をして暇を潰すのだが、
この日、いつもなら窮屈なはずの男子ロッカー室には吹奏楽部の間の抜けたチューニング音だけが響いていた。
僕(筋トレした後射場に矢立置いて射込みでもするかァ…
的は…やっぱ俺のポジション適性的に[中]っぽいし、2的か5的で引くか)
と、ひとり呑気に練習メニューを考えていたその時
?「失礼します、おはようございます」
僕(誰だ…小池?)
道場には生真面目そうな小池の声が響いた。後に続く声がないということは、多分1人だけで来たのだろう。
(いつ見ても激似なんだよなぁ…)
僕(こんな時間に奴が来るなんて珍しいな…
やたらボディタッチ多いし匂い嗅いでくるし僕の水筒勝手に飲むから嫌なんだけど…)
そんな事を考えていたら、男子ロッカー室の扉は勢い良く開かれた。
小池「ああメガネくん、やっぱり居たんだね」
僕「おう、小池も自主練か?珍しいな(やっぱり…?)」
まあ進学クラスは普段練習時間あんま取れないからなーと呑気に続けながら、いつものようにワイシャツをハンガーにかけ、学生カバンから乱雑に畳まれた白い道着を取り出そうとしていた。のだが、
僕(…?)
どうしたものか。
何か、妙な違和感を感じていた。それもそのはず、
小池くんがロッカー室に入って来てから微動だにしないのである。
ただドアノブに手をかけ立ち止まったまま、分厚いレンズ越しにスラックスとインナー姿の僕をじっと見つめている。
僕(なんだ…?なんでこいつ着替えようとしないんだ…?)
無意識のうちに何か不味い事でもしてしまったかと、石像のように固まっている彼に声をかけようと思った。
その時。
ガチャリ。
パチリ。
突如として部屋の電気が消された。
全く状況が理解出来なかった僕は小池の肩が電気のスイッチに当たったのかなと思い、とりあえず
僕「おいおい小池wwww電気消したら着替えらんないだろwwwwはよ付けろやwwww」
と、いつものように冗談めかして言ってみる。
…だが返事は来ない。
僕「…小池?」
無常にも、言葉は闇に飲まれていく。
ドシン…ドシン…
暗がりの中、1歩、2歩。
だんだん彼がこちら側に近づいてくるのがわかる。
小池「あのさぁ…ちょっと大切な話があってぇ…」
ドシン…ドシン…
明らかにいつもの小池とは違う。
どこか熱を帯びている様な甘い声。
普段周囲から天然だの鈍感だの言われてる僕でもすぐに分かった。
これは冗談ではないと。
今まで遭遇した事の無い状況にもうすっかり怯えてきってしまった僕はロッカー室の壁に張り付いて、ただ彼の言葉の続きと外部からの助けを待っていた。
僕「おい何して」
ダァン!!!!
…あの衝撃と音は、一生忘れないだろう。
暗闇の中、僕は同級生に壁ドンされていた。
小池「ごめん、今までずっと隠そうとしてたんだけどもう耐えられない。
あのさ…僕君の事が好きなんだよね。友達じゃなくて恋愛的な意味で」
僕(えっなに?は?何言ってんのコイツ?)
怯えきってる僕を他所に、彼は続ける。
小池「今返事欲しいんだよね。早く、早くさ」
あまりにも近過ぎるせいで彼の生暖かい腐乱臭のような吐息が鼻腔を侵略し、思わず顔を逸らした。
僕「えっあっいやあの…、急にそんな事言われてもな…」
小池「で、どっちなん??」
僕「えっ…普通に友達として続けられたら良いと思うけど…
あーこれあれだろ?淫夢の真似だろ?気づけなくてわr」
小池「俺は本気だよ!」
その時だった。
?「レッシャースオザース」
なんとタイミング良く同期のメンディーくんが二限終わりで道場にやって来たのだ。
(こちらもクッソ似ている)
僕(うオォナイスメンディィィィィィィィ良く来てくれたァァァァァァァァァ助けてェェエエ工!!!!!!!!)
小池「あー…来ちゃったか」
まるでメンディーが道場に来るのを予知していたかのように呟くと、小池は我に返ったかのように僕を解放し、そのままメンディーとすれ違いに部室を出ていってしまった。
追いかけた方が良かったのだろうか。
だが当時の僕には自分が原因の問題に対して、どう慰めていいか分からなかった。
メンディー「ナァ、アイツドシタン?」
僕「ああ…忘れ物、取りに行ったらしいよ」
メンディー「アン?アイツ泣イテヘンカッタ?」
僕「花粉症だろ」
メンディー「セヤロカイ」
僕「んな事より安土の整備手伝って」
メンディー「ショウガネェナ(悟空)
…トコロデナンデ電気ツケテネェノ?」
僕「え!?ああ…ごめんシコってた」
メンディー「コイツヤッバ」
数秒前まで行われていた壮絶でアンビリーバボーな恐怖体験を胸のうちに押さえ付けながら、皆が来るまでメンディーと一緒にバカ話しながら練習した。
結局小池はその日から、道場に戻って来ることは無かった…
最後に
今更だけど小池くん、ありがとうね。
まさかこんな何一つ取り柄のない僕を好いてくれる人間が存在するなんて思わなかったよ。その気持ちだけは本当に嬉しかったんだ。
どの道君の気持ちに応じられはしないけど、もう少し毅然とした対応が出来ていたらと、今でも悔やむ時があるよ。
あ、ただ、小池くん。
最後に一つだけ、
正直に言わせてくれないか。
ざっけんなマジでクッッッッッソ怖かったぞ!!!!!!!!ウ〇コ漏らすかと思ったわ!!!!!!!!
(後日談になるが、小池とは高校を卒業して以来一度も会ってない。
風の噂ではチャラ男になっているそうだが…。)